長期優良住宅ってどんな家?建てる前に知りたいメリット・デメリット
近年、住宅の広告等で「長期優良住宅」という言葉を一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。長期優良住宅は高水準の性能に加え、一般的な住宅にはないさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。この記事では、長期優良住宅の特徴や建てる前に知っておきたいメリット・デメリットについてご紹介します。
長期優良住宅とは
そもそも「長期優良住宅」とは、どんな家のことを指すのでしょうか。ここでは、長期優良住宅の特徴についてご紹介します。
厳しい基準をクリアした高品質の家
長期優良住宅とは、平成21年にスタートした「長期優良住宅認定制度」によって定められた基準をクリアし、長期にわたり安心・快適に暮らせることが認められた住宅のことを指します。長期優良住宅の認定基準については、以下のように定義されています。
・長期に使用するための構造及び設備を有していること
・移住環境等の配慮を行っていること
・一定面積以上の住戸面積を有していること
・維持保全の期間、方法を定めていること
平成28年4月より、長期優良住宅の認定は新築だけでなく、増改築を行う場合であっても、認定を取得できるようになりました。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅に住むことで安心・快適に住めることに加え、さまざまな面で優遇を受けることができます。ここでは、長期優良住宅のメリットについてご紹介します。
住宅ローン控除で優遇を受けられる
長期優良住宅は住宅ローン控除で優遇を受けることが可能です。住宅ローンを借りて家を購入した場合、最大で13年間、年末ローンの残高の1%が所得税から控除されます。
対象となる住宅ローンの限度額は一般の住宅の上限が4,000万円であるのに対し、長期優良住宅は5,000万円となります。住宅ローンを上限まで借りてそれぞれ10年間で返済した場合、最大で120万円程になります。
不動産所得税が減税される
長期優良住宅では、不動産を購入した際にかかる不動産所得税の控除額が、一般の住宅よりも多くなります。一般住宅の控除額が最大で1,200万円であるのに対して、長期優良住宅は最大で1,300万円までです。
住宅ローンの金利で優遇を受けられる
長期優良住宅に住むことによって「フラット35」の金利優遇を受けることができます。「フラット35」とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が連携して提供している、最長35年間の全期間固定金利ローンのことです。
また、フラット35を申し込んでいる人が利用可能な「フラット35S」を適用することによって、さらに借入金利を下げることもできます。フラット35Sでは、金利が引き下げられる期間がプランごとに決まっており「Aプラン」では10年間「Bプラン」では5年間です。
地震保険料の割引を受けられる
長期優良住宅の認定基準には耐震性の項目があり「耐震等級2以上」であることが定められています。そのため、地震保険料の保険料割引対象に該当し、優遇措置を受けることが可能です。
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅に住むことでさまざまなメリットを得ることができますが、もちろんデメリットもあります。最後に、長期優良住宅における主なデメリットについてご紹介しましょう。
着工までに時間がかかる
長期優良住宅の工事を着工する際には、一般的な住宅よりも1週間から1か月以上、場合によってはそれ以上の時間がかかってしまいます。その理由としては、長期優良住宅を建築する際には所管行政庁による認定を受けてからでなければ、着工できないからです。
建築確認申請の審査期間を短くすることはできませんが、申請書類の作成・手続きをスムーズに進めることによって、多少であれば時間を短縮できます。
建築コストが上がる可能性がある
長期優良住宅は独自で定められた一定の基準を満たす必要があるため、場合によっては建築コストが上がってしまうことがあります。一般的な住宅と比べ、材質や建築構造が異なるほか、工期が長いことによる人件費の増加などもコストがかかってしまう要因です。
定期点検が必要
長期優良住宅の認定基準には住宅の維持保全が含まれているため、入居後も定期的に点検を行う必要があります。建築前に提出する「維持保全計画」に従い点検を行い、必要に応じて修繕します。
維持保全のための定期点検を怠った場合には、長期優良住宅の認定が取り消されてしまうこともあるため、必ず行うようにしましょう。しかし、安全・快適に暮らせる住宅を維持するために必要なメンテナンスであるため、大きなデメリットと感じることは少ないはずです。
この記事では、長期優良住宅の特徴、メリット・デメリットについてご紹介しました。長期優良住宅に住むことで安全・快適に暮らせるだけでなく、節税や補助金の面でもさまざまな優遇を受けられるなど、魅力的なメリットが数多くあります。しかし、着工に時間がかかるなどのデメリットもあるため、メリット・デメリットの両方について理解を深めた上で、長期優良住宅に住むことを検討してみてください!