UA値って何?注文住宅を建てるならUA値は重視すべき?
家の性能を判断するにはさまざまな基準がありますが、高気密・高断熱で家を建てる場合は「UA値」に注意する必要があります。UA値はどの程度重視すれば良いのでしょうか?今回は、注文住宅を建てる際に考えるUA値について解説します。
住宅性能を示すUA値
住宅性能を示すUA値とは、具体的にどんな数値なのでしょうか。
■ UA値とは?
UA値は「外皮平均熱貫流率」とも呼ばれ、屋外にどのくらい熱が移動するかを表す指標のことです。外皮平均熱貫流率は住宅全体からの熱損失量と天井、壁、床、ドア、窓などの外皮合計面積で割って算出します。この数値は小さいほど断熱性能が高く、大きいほど断熱性能が低いと言えます。
■ 以前はQ値だった
UA値ができる以前は、「Q値」が省エネ基準の指標となっていました。Q値とは、建物の内部から外部に逃げる単位時間あたりの熱量を床面積で割った数値で、「熱損失係数」とも言います。
しかしQ値では熱損失量を床面積で割るという計算方式だったため、床面積の少ない建物や複雑な形の建物ほど断熱性能を表す数値が悪くなってしまい、不公平と感じられました。
そのため平成25年の省エネ基準改正では、建物の内部から外部に逃げる単位時間あたりの熱量を住宅の「外皮(外壁や屋根・天井、床、そして窓など)」を面積で割ったもの、UA値へ移行されたのです。
■ 断熱性能の偏りが考慮されない
UA値には、断熱性能の偏りが考慮されないという欠点があります。UA値は平均値なので、例えば壁の断熱性能が150点で、窓の断熱性能が50点であっても、全体では100点となってしまいます。そのため、まずは窓の断熱性能を担保した上で、UA値を考えていくことが大切です。
UA値を下げるためには何をすべきか
住宅のUA値が高い場合、下げるためにどんな工夫をすればいいのでしょうか。
■ UA値を上げてしまう窓
住宅のUA値を上げてしまう最大の原因が「窓」です。他の屋根、壁、床などの場所と比較して、断熱性能がもっとも低くなります。例え窓がトリプルガラスであっても、屋根や壁の断熱材の断熱性能と同程度にすることは到底できません。
夏場は日射熱が窓から室内へたやすく入り込み、冬場は反対に室内の熱(遠赤外線)が窓から外へ逃げてしまいます。さらに、外の冷気で冷やされた窓とサッシが、室内をじわじわと冷やすことになるのです。
■ 窓の性能を上げる・小さくする
そう考えると、UA値を下げて断熱性能を良くするため、「窓を一切なくしてしまおう」という発想もでてきますが、これは実際には現実的ではありません。窓から見える景色を楽しんだり、窓を開けて空気を入れ替えたりすることが一切できなくなってしまいます。
また視覚的にも、窓がないと空間の広がりを感じにくくなります。そのため、UA値を下げるためには窓自体をなくすのではなく、窓の性能を上げるのが賢明と言えます。窓は熱貫流率(U値)が小さい高性能なものを検討してみてください。また、窓は性能アップの他、サイズも小さくすればさらにUA値を下げることができるでしょう。
省エネ基準を満たすにはどれくらいのUA値にすべき?
住宅のUA値を考える際は、省エネ基準を重視しなくてはなりません。どのくらいの数値を目安にすればいいのでしょうか。
■ 省エネ基準とは
住宅の省エネ基準は、省エネ法に対応して昭和55(1980)年に制定されました。さらに平成4(1992)年、平成11(1999)年に改正・強化。平成25(2013)年には住宅の外壁や窓などの「断熱性能」に加え、設備の性能や省エネをを総合的に評価する「一次エネルギー消費量」基準が加わり、建物全体でエネルギー消費量を減らす基準が導入されました。
住宅・建築物部門のエネルギー消費量は全エネルギー消費量の3割以上を占め、地球環境問題の解決に向け、住宅においてもさらなる省エネ化が求められています。
住宅の省エネルギー性能の評価については、「住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準」「設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準」という2つの基準を用います。この中の外皮性能が、UA値を基準として評価されることになります。
■ 関東圏ではUA値0.6W/㎡K以下が最低ライン
2013年の省エネ基準で定める値は地域によって異なり、北海道から沖縄県まで8つの段階に区切られています。一般的に、夏よりも冬の方が冷暖房エネルギーが必要になるため、北海道(1地域)に近いほどエネルギー消費量が大きく、沖縄県(8地域)に近いほど小さくなります。
例えば関東圏では、UA値が0.6W/㎡K以下となっています。まずは家を建てる地域にどのくらいのUA値が定められているかチェックしましょう。
今回は、注文住宅を建てる際に考えるUA値について解説しました。UA値は値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことになります。冬でも家の中で暖かく過ごしたい場合、このUA値を基準として断熱性能を検討するといいでしょう。
また、断熱性が優れた住まいは、エネルギー消費を抑えて、光熱費の削減もできるのが嬉しいポイントです。ぜひ解説した内容を参考に、家計にも環境にも優しい快適な住まいを叶えてみてください。